1. HOME
  2. つむぎ庵
  3. 女将 野竹夏子の歴史【麻の葉柄】

女将 野竹夏子の歴史【麻の葉柄】

麻の葉柄

「今、麻の葉柄がこんなに流行るなんて…」

 

思わぬことに、私たちが加賀友禅の伝統を守るためにブランドイメージとして採用した「麻の葉柄」が、人気アニメ「鬼滅の刃」のキャラクター「禰豆子」の着物の柄としても広まり、多くの方に知られるようになりました。

 

しかし、その柄の意味や背景について深く理解している方はまだまだ少ないように感じます。

 

麻の葉は成長が早く、まっすぐに伸びることや、魔除けや厄除けの力があるとされ、昔は子どもの産着やおむつなどによく使われたものでした。実際、私が初めて子どもに着せた産着も麻の葉柄でした。

 

現在、コロナ禍で厄除けや魔除けの意味が再び注目され、この柄がマスクや小物などにも取り入れられています。しかし、着物の世界ではまだまだ苦戦しています。着物はもはや日常には必要ないと思われており、伝統工芸の技法や技術が失われてしまう恐れがあるのです。

 

私たちは、この素晴らしい伝統工芸を未来に繋ぐために、新たな型を生み出し、極める挑戦を始めることにしました。着物や伝統工芸品を通して、その素晴しさや貴重さを広く知っていただき、この技と心を守り続けていきたいと考えています。

私は若い頃から、何かを始めるときは、そのことに全力で取り組み、成功するまで諦めないタイプでした。

 

そして、人々を感動させることができる力を持っていることを、実際に経験してきました。

 

私が30代の頃、自分が着たい洋服を扱っているお店が地元になかったため、自分でブティックを開くことを決めました。

 

そのお店を、働く女性や忙しい主婦たちが特別な場所と感じられるようにしたかったのです。そこで、非日常的でおしゃれな店内に喫茶コーナーを作り、女性専用のサロンのような雰囲気を作り出しました。

 

お客様には、洋服を買うだけでなく、素敵になる手伝いをする気持ちで接客を行っていました。その結果、当時のバブル景気の波に乗って、売上を倍々に伸ばすことができました。

 

また、地域社会でも、男女共同参画の機運が高まる中、さまざまな団体の方々と協力して、研修を受けたり、七尾の活性化に向けて活動を行いました。

しかし、私の心の中で育んでいた「地元愛」の思いはますます強くなっていきました。そこで、自宅である古民家をリノベーションして、宿泊施設とレストランを開くことを決意し、順調だったブティックを思い切って閉鎖することにしました。

 

私の宿「つむぎ庵」は、目の前に広がる日本一と言われる定置網や、棚田の田圃、豊かな里山や里海の恵み、そして150年以上も続く歴史ある古民家を活かしたものです。

 

つむぎ庵では地元の自然で育まれたナチュラルな食材を使い、健康に配慮した料理を提供することを心がけています。また、店内では、加賀友禅、輪島塗、九谷焼など、地元の伝統工芸品の販売も行っています。

 

私の思いは、能登の自然の中で、七尾の歴史や石川の伝統文化・工芸に触れて、皆様に興味を持っていただくことです。

 

 

 

七尾には活かしきれていない資源がたくさんありますが、私の住む町は手つかずの自然が残る田舎です。そこで私は、自分にしかできない町おこしを考えるようになりました。

地元の協力を得て、小さな漁師町で一日3千人の客を集める「北大吞大漁まつり」を開催し、田舎に新風を吹き込みました。

また、若い頃から習っていた茶道に再び力を入れ、総合芸術とも言われる茶道を極めるにつれ、自然に着物や器、九谷焼や輪島塗などの工芸品にも興味を持つようになりました。石川県が九谷焼、大樋焼、加賀友禅、輪島塗などの産地で、全国でも珍しい工芸王国であることの価値にも気づきました。

その流れで、ブティックでも着物を扱うようになり、利益率を一定にして定価を決めることで、はっきりとした値付けの基準を設け、地元でもトップクラスの販売店となりました。さらに、輪島塗や九谷焼などの高級工芸品も扱い、お客様に身近なものとして感じていただけるようにしていきました。

しかし、若い人たちの間で、文化や工芸に対する関心が薄れつつあることに懸念を感じ、加賀友禅を守りたいという思いが芽生えました。

麻の葉柄という伝統的な柄が新しい形で注目を浴びたように、加賀友禅も新しい形で息を吹き返し、未来へと続けられるはずです。そして、私たちはその未来を繋ぐために、加賀友禅の技術や技法を和服ではなく洋服に取り入れ、新しいブランド「N.Y-asanoha」を立ち上げました。

「N」は野竹と能登の頭文字であり、友禅の「Y」と麻の葉を合わせたブランド名です。女性を美しく、人を元気にし、町を元気にするために、そして歴史や伝統文化を次世代に繋ぐために、私たちは全ての想いを込めてこのブランドを送り出します。

「鬼滅の刃」が人々の心を動かした理由は何なのか。それは、日本人の心の深い部分で共有されている何かに影響されているのかもしれません。一人一人の命は永遠ではありませんが、人から人へとつないでいくことで、伝統文化に対する敬意の念が日本人のDNAレベルで受け継がれていることを思い起こし、それが日本を元気にすることにつながると考えます。

私たちのブランド「N.Y-asanoha」と「つむぎ庵」は、同じように日本の心に触れ、日本の良さを思い起こすきっかけとなり、日本の原風景が残る能登の地で、皆様のお越しをお待ちしています。

女性をきれいに!

人を元気に!

町を元気に!

歴史や伝統文化を次世代に繋ぎたい!

そんなこれまでの野竹夏子の人生のすべての想いを込めて送り出します。

「鬼滅の刃」がなぜこれほどまでに人々の心を動かしたのか?

もしかしたら、日本人の心の深いところで共有している何かが影響しているのではないでしょうか。

一人一人の命は永遠ではないけれど、人から人へとつないでいくことで、永遠に続いていくものを大切に思う心、つまり伝統文化に対する敬意の念が、気づいてはいないけれど、日本人のDNAレベルで受け継がれていて、そこに響いたのかもしれません。

そして、その忘れていた何かを思い出すことが、今の日本を元気にしていくことにつながるのかとも思います。

「N.Y-asanoha」そして「つむぎ庵」が、同じように、日本の心に触れ、日本の良さを思い起こすきっかけになればと願いながら、日本の原風景が残るこの能登の地の温故知新の宿で、皆様のお越しをお待ちしております。